「第4回ドキドキ☆スマートレターで文庫交換会」に参加!
お題は「10年以上手元にある本」で、私が選んだ1冊は京都が舞台の湯川秀樹の自伝。
普段の自分と縁遠い本であればあるほど「これぞ醍醐味!」と嬉しくなってきます。それが贈って下さった方にとって特別な一冊であれば尚のこと。ありがとうございます。#ドキドキ交換会 #文庫の会(仮) pic.twitter.com/35PcvkizOH
— C_CYCLONE (@CCyclone777) 2018年11月9日
舞台は京都!
しかし… 金閣寺は登場しない。本当はこの自伝に登場するような雰囲気ある京都を撮ってみたい。
私が選んだ1冊、こちらを紹介したい。
「旅人」湯川秀樹
(角川ソフィア文庫)
ちなみに、参加者の選書はこちら!(幹事の方、いつもありがとうございます)
控えめに語るエリート一族の暮らし
副題は「ある物理学者の回想」。
20年以上もむかしのこと、大学の生協で出会ってジャケ買い。むかしの表紙は麦わら帽をかぶって浴衣を着た4〜5歳くらいの少年を水彩画風に描いたもので、その方が個人的にはよかったなあ。お見せしたいと実家を探したけど、もはや見つからず。
今のジャケは、少し若者の関心を惹こうと媚びてる(しかし、逆効果?)なよくわからない気がしている。
湯川秀樹は日本初のノーベル受賞した学者(物理学)で、新聞読者という素人さんに向けての内容だから、かわいいエピソードなり思い出話しが綴られている。大正&昭和のインテリ家庭のほのぼの話しと楽しく読める。
控えめに知能指数が高いと言っているが、日本を代表する知識人なのだから、もっともっとアピールしていいのに。
後になって、この時に調べられた知能指数が大変高かったと教えられたが、私にはわけの分らない試験台にされたという印象しか残っていない。
読めばわかるが、男四人兄弟(五男は亡くなる)は全員すごい学者という一家。
この末弟が一人だけ、ーー今度の戦争の犠牲者としてーー先にこの世を去ってしまった。
このような感じ。
そして唯一の恋バナらしい恋話し。ご自身でも「最初で最後の縁談」と言っている。
相手は、大阪、今橋三丁目にある、湯川胃腸病院の末娘である。(略)が、私の関心は、もちろん当の娘さんが、どんな人かということにある。
夏目漱石「行人」でも登場する、あの湯川胃腸病院である!
秀樹さんが婿入りしたのは偶然で、多分漱石とは関係ない。
「なんで今日は、花ささへんのや? 今日こそ大きな派手なん、ささなあかへんがな。そのうすき色のバラが、一番よううつるさかい、それにしときいな」
奥さんとなる相手とその姉との会話、お見合い当日に花を刺すか刺さないか。とっても大阪らしい押し。
ノーベル賞に関する論文だって
こんなに早く論文が出来上がったのは、妻が毎日のように、
「早く英語の論文を書いて、世界に発表して下さい」
と、勧めたからであった。
文章で書くと穏やかだけど、「勧めた」など穏やかなものではなく、きっと脅迫?に近い攻めだったのでは?と勝手に妄想して楽しんでみる。何しろ婿殿という立場のようですし、プレッシャーはきついかなと。
絶対に被らない選書だと思いつつ、楽しんでもらえれば嬉しいかなと。