知的障害の画家… というより、小林亜星のドラマが印象的だった!と調べてみると、小林亜星ではなく芦屋雁之助だったのだろうか?
生の貼り絵(ちぎり絵)見てみたい!と願望が記憶の奥に眠っていたままだったのに、エッセイ集に出会ってみたら読まずにはいられなかった。
本のタイトル | 日本ぶらりぶらり |
著者名 | 山下清 |
出版社 | ちくま文庫 |
画像は松島のカモメ。山下画伯の創作意欲を刺激できる光景かな?
開いてみると、字が大きいだけでなく、漢字が少ない… そうか、そうだよね。だけど、かなり能弁ではないか!と笑わせる文も少なくない。子供の思考に大人の鋭い視点が混じっている。
「日本ぶらりぶらり」と旅して画題を探る
読んでみるとわかってくることだけど、エッセイ集とまとめるには精神科医・式場隆三郎の導きも大きい。こちらの医師、文芸界の方々との交流でも名が出てくる方だった。山下画伯による人物画も掲載されていたが、なんだか二人はいいコンビな感じ。
内容は下記のとおり。やっぱり、放浪の話に読み応えがある。
Ⅰ
- 九州あちらこちら
- 阿波のバカ踊り
- 山陰ぶらりぶらり
- 港と黒ん坊
- 男湯と女湯
- 東京の「日本一」見学
Ⅱ
- しし踊りとグレート・デン
- 仙台の七夕まつり
- 竿灯と秋田犬
- 山寺のすべり台
- 将棋風呂
- 紙の大仏
- 加治のサクラを見た
Ⅲ
- 蛍いか
- ゆで卵となま卵
- サイン病
- どこでも少佐
- うちの家内
- ジェット機をみる
- 放浪よさよなら
阿波のバカ踊り
奥の深い意見、そうか特徴を捉えることから始まるものよね。
どうすると絵がうまくなるかというと、ほんものそっくりに描けば写真とおんなじだといわれるし、ほんものと違って描けばうその絵だといわれるので、景色を描くときはその特徴をあらわせばいいので、はじめて見る景色はなにが特徴なのかよくわからない時はよその人にこの景色はどこが特徴ですか聞くと、聞く人によっていろいろちがうので、(略)まあ人がたくさん見物にくるのが特徴だというので、ぼくは自分のすきなところだけをおぼえていて、学園に帰ってから貼絵にするのです。
こちらの意見もかなり説得性を感じた。
六十ぐらいの人は、きたないけれど、六十ぐらいの人を一万人も二万人もならべたら、きたなく見えないようになるだろうな。同じものがならんでいるんだから。そのなかへ四十ぐらいの女の人を一人か二人つれてきたら、その人はきっとはたちぐらいの若さにみえるだろう。
文章はシンプル(失礼だけど、要するに単純)にもかかわらず、挿絵と併せて楽しめるのがいい。画家のエッセイは絵と文章の両方が楽しめてお得。
生の山下清作品見てみたい!とネットで調べると…
放浪美術館公式ホームページ 山下清 美術館 貼り絵 作品 展示総数170余点
この辺が有力な情報源かな。
次回は「ヨーロッパぶらりぶらり」と海外編を紹介します。
この1冊でした(Amazon)
人は動くから苦手だと言う山下画伯だけど、表紙のヌードはなかなか色っぽいキュート!