光と闇の対比というより暗がり
人疲れした時、私は電球色の電球の灯と静寂に癒しを感じ(そのまま寝)る。
辛気臭いという人もいたけれど。
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「陰翳礼讃」 谷崎潤一郎
大谷崎の著書には消えた日本の光景が
ある気がしている。まだ暗かった日本の生活の良さを細々見出している内容だけど、
こういうセンスが、今でも日本らしい(?)とか言われているんだろうなと。
暗い家に住んでいた昔の人は、その美しい色に魅せられたばかりでなく、かねて実用的価値をも知っていたのであろう。
に始まり、蒔絵など金や金糸を用いた袈裟など暗がりに映えることを説明し、やがて暗がりに見える美少年を…
たまたまそれが美少年の能役者だと、肌理のこまかい、若々しい照りを持った頰の色つやなどがそのためにひとしお引き立てられて、女の肌とは自ら違った蠱惑を含んでいるように見え、なるほど昔の大名が寵童(ちょうどう)の容色に溺れたというのはここのことだなと、合点が行く。
衆道な方面に行ってしまうのが、やはり谷崎大先生。ノーベル賞を受賞して欲しかった。