千円札の夏目漱石。彼は何を考えていたのか、興味ある。
春の陽気で東京大学三四郎池で寛ぐ人々
また寄り道してしまった。一般人が集っている東京大学の三四郎池って何だか好き。何もないけど。
こういうとこで、ぼぉ〜と珈琲飲むがいい。
まただけど、この画像にちらんで、こちらを紹介。
「『坊ちゃん』の時代」
凛洌(りんれつ)たり近代なお生彩あり明治人
関川夏央&谷口ジロー(双葉文庫)
明治時代とはどういう時代だったのかな?
私はてっきり一冊だと思ったのですが、五部作であった。
- (第一部 とくに副題なし)
- 第二部 あきの舞姫
主に鴎外の舞姫のモデルになった彼女(エリス)が狂言回しで - 第三部 かの蒼空に
貧困でなくなった石川啄木の生き様 - 第四部 明治流星雨
大逆事件と首班と見なされ処刑された幸徳秋水 - 第五部 不機嫌亭漱石
漱石の最期
ざっくり、上記のような構成で、読む文学と漫画での文学の垣根を曖昧にした漫画は、あの「アドルフに告ぐ」以来である。アドルフは、教育実習中に「先生、おもしろいよ!」と男子中学生に貸してもらって読んだ。さすが、付属中の生徒は違うなと。
それで、この五部作であるが、第一部のあとがきで
そこでわたしは『坊っちゃん』を素材として選び、それがどのように発想され、構築され、制作されたかを虚構の土台として、国家と個人の目的が急速に乖離しはじめた明治末年を、そして悩みつつも毅然たる明治人を描こうと試みた。
第四部のあとがき
「大逆事件」とその前夜をあつかった。それは、この事件の明治知識人に与えた衝撃と影響の大きさははかりがたく、昭和二十年の破滅へとつながる道はこれによって定められたのであるから、明治精神史を描くなら不可欠であると見とおしたためだ。
と言及している内容が、著者たちが描きたかったことかなと。
個人的には、この五冊を読んだことで、鴎外とか啄木の詩とか読み直してみたいと思った。有名な石川啄木の
はたらけど
はたらけど猶わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る
とても共感でき、つい仕事が辛いときつぶやいてみる。そんな感じで、改めてまた漱石の続きを読みたくなっている。
ところで、みなさんは何を期待して漱石を読むのかな? 自分も明確な期待がある訳ではないけど、
執筆は神経のささくれを寝かせるのに必要な行為であった
生存の条件であった
心を穏やかにさせた執筆の内容を知りたくて読むこともある。
連載小説『門』の原稿は三日分を残すのみだったが
それは鈍く痛みつづける
漱石の胃を反映するかのような
陰気な作品となった
プロだから、書かねばならぬこともあると思うが、やはり「門」は苦悩が抜けきらなった作品だったのだなと。お気楽ごらくに生きている自分だけど、自分のうちでは日々悩む(というより、考えている)ことはある。漱石の作品を読むと、みんな悩んでいるんだなと。
漱石好きならば、是非こちらへも!
漱石が好物だった空也の最中もすぐに味わえます。本店では予約しないと….