1枚の画像と読書日記を綴っておきたいと。
昭和の面影はもはやなく平成という気分でもない
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「信仰の現場」
ナンシー関(角川文庫)
左は散歩の途中で広くて楽しい古本屋ささま書店の100均棚で、右は新刊書店で。どちらも今の自分の気持ちに寄り添ってて… つい😅
本屋楽しい。 pic.twitter.com/0HKkA7nAnQ— やのふじね (@1book1photo) 2018年11月18日
現在の信仰の現場が気になる
あるものを熱狂的に求めている人たちを「信仰」にたとえ、彼らが集まる場所に足を運び、非熱狂の視点でまとめたもの。
総括としてナンシー女史特有のコメント付き消しゴム版画と、現場でその熱狂ぶり?を撮影した画像が掲載されている。平成3〜6(1991〜1994)年という時期だから、自分にとってはちょうど大学生時代と被る。
もはや、過ぎ去りし過去(自分の若かったころ)として懐かしさを覚える。当時はまだデジカメはなく、撮られる方も今ほど過敏になっていないとこが新鮮さえする。
さて、内容だけど、ナンシー女史はどこに信仰の存在を求めたかと言えば…
Ⅰ(スタジオ・ボイス)
- 矢沢永吉コンサート
- 北青山クレヨンハウス
- 神保町さかいやスポーツ
- 「男はつらいよ」浅草松竹劇場
- 劇団ひまわりの子役たち
- 「笑っていいとも!」公開生放送
- ゾロ目マニア@JR四ツ谷駅
- ウィーン少年合唱団来日公演
- 「全日本キックボクシング ’92」
- 第302回ドリームジャンボ宝くじ抽選会
- 渋谷区神南NHK見学者コース
- 「アメリカ横断ウルトラクイズ」予選会場
- 公団建て売り抽選
Ⅱ(野性時代)
- 非一流大学合格者発表
- 毒蝮ラジオ公開放送
- ドッグショー。トッププリーダーの謎
- 御成婚パレードの人波にもまれて
- 「斎藤忠光・ピアノインプロヴィゼーション」コンサート
- レインボーブリッジ開通オープニングセレモニー
- テレフォンショッピング・ショールーム探訪
- 新大久保「発明学会」
- 正月、初売り、福袋
- 東銀座歌舞伎座前・特設前売券発売所
- 世界らん展日本大賞 ’94
()は初出として連載された雑誌名。
連載初期の矢沢永吉コンサートは
全員が同じスキを持っているという安心感が、彼らを無防備にさせる。
この一文で、ミッキーになりきるディズニーランド熱狂者を思い出した。2019年を迎える今は熱狂も落ち着いたのか、10年ほど前には自分の周りにもかなりいたが、みんな歳とって大人になったのかな?
ゾロ目マニアは、大学の先生を思い出した。先生を喜ばせるべく、平成6年6月6日6時6分の六本木駅で頑張った同級生がいた。ナンシーは平成4年4月4日4時44分の四ツ谷駅だ。
上記のラインナップには、(残念ながら)結構ナンシー女史の期待を裏切る非熱狂の現場も少なくない。
個人的に一番笑えたのは、「ドリームジャンボ宝くじ抽選会」の新宿コマ劇場でのレポート。
「昭和の大衆劇場」の香りがある新宿コマ劇場でジャンボ宝くじ抽選会があるのだが、期待するほどの熱狂ぶりはない。なぜなら、誰も当たりくじを持参せず、何百枚と購入している人もいるだけに、その場で「当たったぜ!」という光景はない(らしい)。
肩透かしを食らうけど、その後の「北島三郎コンサート」を気にする。
勧銀宝くじ部は、「宝くじファン」を「1時間くらいは待つ」と見すかして、プログラムを立てたわけだ。(略)「タダでサブちゃん観れるなら1時間くらい待つ」人が全国に4000万人ぐらいいると思ってることか。勧銀宝くじ部は考え改めた方がいいと思う。
かつての勤務先(第一勧業銀行)だっただけに、まんざら他人事ではないが、そういう説教で終わるくらいなので、ここに信仰を見出せなかったナンシー。
消しゴム版画のサブちゃんには「きかずに帰るのかオレの歌を」と言わせている。
前振りが長くなるが、信仰の現場のレポートより、この消しゴム版画だけで十分笑える。目の付け所と、総括している消しゴム版画がいい。
雑誌の連載企画だろうけど、「信仰の現場」というテレビ番組にもなりそうなネタ、そして、表紙もいい。