またハワイに行く機会はあるのだろうか
20年ほど前、弟の結婚式に参列するために訪れたハワイ。
デジカメで撮影するのが楽しくて仕方がなかった、ハワイは絵になるなと。
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「ぼくのおじさん」
北杜夫
(新潮文庫)
40年ほど前に読んでいるのに、オチが思い出せなかった。
そう!ハワイへ行くのだった…。ということで選んだ1枚である。
北杜夫氏の作風は幅の広い
先日「夜と霧の隅で」という究極な状況下での精神科医についての、渋い短編を読んだが、今回の1冊は中学生向けとは言え、妙にほのぼのとさせる1冊。
今さらなぜ中学生向けをと言えば、興味本位以外にも表紙にある和田誠氏のイラストが懐かしさを誘った。自分には個人的な思い出がある。
「ぼくのおじさん」の最後に著者による説明として
この本『ぼくのおじさん』は、もちろん作り話ですが、そうしたわたしの思い出がいくらかこめられています。ダメなおじさんだったわたしの思い出が。
『ぼくのおじさん』は、旺文社の「中二時代」に昭和三十七年五月号から連載し、翌年「中三時代」四月号で終わったものです。
そうかもう40年!近くむかしになるのか…。
うちの父親が旺文社勤務で、この「ぼくのおじさん」は単行本が家にあったのである。
和田誠氏のイラストが印象的で、シンプルなイラストが子供ながら(自分のこと)にスタイリッシュに感じた。自分、多分当時は小学4年生~6年生くらいだったと思う。初出は中学生が対象だから、確かに当時は少し難しく思えたかも。
文庫本は全体の2/3ほど「ぼくのおじさん」で、残りはひらがな主体の散文調で気軽に読める作品仕立てになっている。
- ぼくのおじさん
- みつばち ぴい
- むすめよ……
- よわむしなおばけ
- ローノとやしがに
- 雪は生きている
- ヒマラヤのヒョウタンツギ
- 赤いオバケと白いオバケ
- さっちゃんとパパとママ
子供(むかしの自分)ながら、おじさんが”ぐうたら”だったことは覚えていたが、結末の記憶がなかった。
こんなおじさんを持つぼくは不幸である。こんなおじさんは、できることだったらベーゴマひとつと取りかえたいくらいだ。
北氏も、おじさんは若かりしき頃の自分をオーバーラップして描いたらしい。
結末は、「どーやって無料でハワイへ行ったか?」「ハワイで叔父&甥はどうなったか?」というのが読みどころだった。
日本円にしてみればかなりの金額だが、アメリカは物価が高いから、こんなゼイタクなホテルに泊まっていては、ホテル代だけでなくなってしまうというのだ。
とか
「うんと、べらぼうに安いホテル、へなへなの、吹けばとぶような安いホテルがいい」
「さあてね、それじゃ中国人のホテルかな。そこらにいろいろありますがね。あやしげな宿だから、あたしはよく知りませんし、すすめもしませんがな」
昭和40年代はまだ「アメリカは物価が高い」だし、もう「中国は安い」という認識だなと。
それにしても、おじさんの言動が、後々躁鬱で苦しむ北氏を彷彿させた。
以前何かで、むかしは兄弟姉妹が多かったから、おじさん&おばさんも沢山いて、「必ず一人くらいは独り者の余白な存在のおじ(変わり者)がいたものだ」という記述を読み、「ああ、自分も余白なおじキャラだな」と痛感したよ。
映画はこれ!
監督 は山下敦弘
キャスト
- おじさん – 松田龍平
- 稲葉エリー – 真木よう子
- 春山節子 – 寺島しのぶ
- 春山定男 – 宮藤官九郎
- みのり先生 – 戸田恵梨香
- 青木 – 戸次重幸
合う合わないより、自分の好きな人たちばかり登場しているのよ。