気になるケン・リュウさん
「紙の動物園」で話題になったケン・リュウさんが編集のこちら、かつて頭の片隅にあったのだが出会ってしまったから読んでみる。
本のタイトル | 折りたたみ北京 |
編者 | ケン・リュウ |
訳者 | 中原尚哉・他 |
出版社 | ハヤカワ文庫 |
画像は中国というより香港。今の香港はすっかり?中国に翻弄されている感じが拭えないけど、こちらの小説の雰囲気としては中国本土より香港が近いと感じた。
北京を折りたたむとはどういうこと?
野暮だけど、収録作品を挙げておく。わかっている範囲で、著者の生年を記載しておいたが意外に若い。すでにパソコンや携帯電話、ネットなど身近で使い慣れている世代だなと。それと、女性も結構いらっしゃる。
<収録作品>
- 序文 中国の夢/ケン・リュウ
- 鼠年/陳楸帆(チェン・チウファン)1981
- 麗江の魚/陳楸帆
- 沙嘴の花/陳楸帆
- 百鬼夜行街/夏笳(シア・ジア)1984
- 童童の夏/夏笳
- 龍馬夜行/夏笳
- 沈黙都市/馬伯庸(マー・ポーヨン)1980
- 見えない惑星/景芳(ハオ・ジンファン)1984
- 折りたたみ北京/景芳
- コールガール/糖匪(タン・フェイ)
- 蛍火の墓/程?波(チョン・ジンボー)1983
- 円/劉慈欣(リウ・ツーシン)1968
- 神様の介護係/劉慈欣
- エッセイ/劉慈欣、陳楸帆、夏笳
百鬼夜行街/夏笳(シア・ジア)
日本のむかし話のちょと怖いやつっぽい感じ。
百鬼夜行街は当時すでにさびれていました。観光客の足は遠のき、いまもそのままです。人々はほかの娯楽を知ったのだろうとシャオチェンは言いました。新しく刺激的なものに夢中で、古い娯楽を忘れてしまったのだと。そんな例をいくつもみてきたとシャオチェンは言います。
他の作品はわりとエッジが効いてる現代風のなかで、こちらの作品は少し古風なテイストがあって親しみを持てた。
この木は老鬼樹と呼ばれ、百鬼夜行街の主とされています。この木をよろこばせた者は栄え、その意に反した者は滅びるのです。
折りたたみ北京
都市を折りたたむとはどういうこと?と、この段階ですでにSFちっくであるけど、たたまれた都市の別の場面に行くと、何が起こってどういう人生が繰り広げられるのかという妄想を、現代社会の多面性をアレンジして語られている。ふむ。アイディアとしては、妙な説得性もあって楽しめた。
「おまえの聞きたくないことを言わせてもらおう。わしは行くべきではないと思う。向こうは……それほどいいところじゃない。行けば、しまいには、自分の人生が意味のないつまらんものに思えてくるだろう」
とってもハヤカワ文庫らしい1冊で、そこにも共感を持てたよ!