文庫概要
タイトル | 姉・米原万里 |
著者 | 井上ユリ |
出版社 | 文春文庫 |
表紙は…
写真・1975年、東ベルリンで開催された世界学生平和友好祭で通訳ボランティアをする米原万里(25歳)
以前からかなりの規模の関心を抱いていた米原万里女史であるが、ウクライナ侵攻をきっかけにロシアを知りたくなって、積んである文庫に加え新たな購入も含め、数冊パラレルで読み始めている。
まずはこちらから、紹介しようかなと。
内容紹介
2016年刊行の単行本の文庫本。万里女史は2006年に亡くなっているが、文春の編集者から妹のユリ女史に依頼があって実現した1冊のようである。
そもそも自分は、井上ひさし氏の書籍を読んでてご両人がユリ女史を介して、義理姉と義理弟(だけど年齢は弟の方が上)の関係であることを知り(驚いた)矢先、この1冊に出会って読んでみたい!と積んであった。
書き下ろしと思われるが、ラインナップは次のとおり。東欧での生活というのも興味深いものの、個人的には食べ物にまつわる話が好き。
- 卵が大好き
- 米原家の大食い伝説
- プラハの黒パン
- クネードリキ
- ソビエト学校のキャンプ
- 赤いエリートの避暑地
- 父の料理、母の料理
- 大好きな写真
- 米原万里が詩人だったころ
- 職業は「踊り子」
- きれいな一重まぶた
- 飲まない万里のまっ茶な真実
- 毛深い家族
- わたしは料理の道へ
- いつも本を読んでいた
- 「旅行者の朝食」
- あとがき
- 文庫版のためのあとがき
- 解説 福岡伸一
- 文庫版のための付録 その1、その2
プラハの黒パン
荻窪在住(I LOVE 杉並)の自分には見落とせない記述であった。多分あの店かな?というのが今もあるので、今度買ってみようかな。
ある日、プラハで一緒だった西荻窪に住む一家がソーセージを持って遊びにきてくれた。すぐ近くの商店街にソーセージを作って売るお店ができた、というのだ。これがチェコの懐かしいパールキと形状も味も同じで、「西荻」って、なんてステキな町なのかと、わたしたちは心底うらやましかった。
クネードリキ
もはや単語を聴くだけでは、全く想像もできない東欧の料理。
クネードリキとじゃがいもなしではチェコ人は生きられない、クネードリキはまさしくチェコ人のソウルフードだ。
シェパネルスキー・プターチェクについて、万里は次のように書いた。
イメージを膨らませつつ読んでいたら、なんと!具体的なご紹介をいただいていた。
姉妹にとっては印象深い一品のようだ。
さすがプロ(井上ユリ女史)による記事なだけに、自分も自分流に作ってみようかな(食べたいな)という気持ちにさせられる。
姉妹の違いや仲の良さ、そして最も身近で多くの時間を共有した妹ならではの一冊で、他の万里女史の著書を読む上でも参考になってしまう内容である。
食エッセイ好きの自分としては、「旅行者の食卓」とかも読みたくなる。そもそも日本人による東欧料理のエッセイなどこちらの姉妹でないと語れないかなと。
この1冊でした(Amazon)
ユリ女史は料理をする方なので、著書は多くない。次からは万里女史のエッセイや小説を読んで、ロシアを知ろうと思っている。