「太陽の子」灰谷健次郎


故郷の味が恋しくなるから沖縄料理店へ

自分にとって故郷の味ではなくても沖縄料理、好きだ。

画像は東京都杉並区高円寺の沖縄、この店の画像には多くの沖縄が詰まっている。

wikipediaによれば、国道58号は

沖縄県民の多くの人々にとって、国道58号は沖縄を象徴する最も慕われた道路として存在し、国道58号関連の土産物グッズは日本の国道の中でも特に多いといわれる。

らしい。

この写真にちなんで、こちらを紹介したい。

太陽の子
灰谷健次郎(角川文庫)

小学時代に観た映画の内容がついに判明

タイトル「太陽の子」と「神戸」「沖縄」で、40年近く昔に小学校の体育館で見た映画の内容が(ついに)判明した!と思っている。

当時自分は小学1〜2生だと思うので、映画の内容は覚えてないし、かつ覚えていたとしても、著者が伝えたかったテーマは確実に伝わってない。心の病気を理解できるのは大人にならないと、否、体験した人にしか理解できないかも…。

主人公ふうちゃんの両親は神戸で沖縄料理店を経営している。小説の冒頭にはその様子が”楽しげに”描かれる。

煮る前に一度茹でること、水を使わずに泡盛を使うこと、厚い鉄鍋を使うこと、イライラしないでのんびり煮ること、炭火のやわらかい火で煮ることなどであった。あとは口でいってもわからない。それはどんな料理にも共通することで、おかあさんは、それをまごころといっていた。

しかし、自分の記憶に残っている映画は暗い感じだった。

映像の性能や小学校の体育館という要因もあるかもだけど、実際のところ、ストーリーは明るいものではない。しかし、今回読んでみると改めて「平和」というものを考えさせたれた。ぼおっと生きているから、すっかり忘れていた!

ふうちゃんは今、自分がだれからも愛されていることをつよく感じていた。
ふうちゃんのこしらえた小さな沖縄は、今ここで大きな大きな沖縄なのであった。

ふうちゃんは、パーフェクト「できる女子」である。

「おかあさん」
ふうちゃんは気色ばんでいった。
「どうして戦争の話になったら、そうして知らん顔をするんや。むかしの沖縄はよかったというて楽しい話は小さなことまでするくせに……」

そして(今になって思えば)映画を見ていた当時の自分とさほど変わらぬ年代なのに、鋭い点を突いてくる!

この本において、このふうちゃんは狂言回しだから、鋭い点を突いて来ないと物語は動かない。どの点が一番共感するかは様々に読める1冊かと思うけど、自分が一番刺さったのは、心の病に侵されたふうちゃんのお父さんである。

自らの心に取り付いた病から逃れるべく、自ら命を絶ってしまうシチュエーションに、正直自分は理解し難いものを抱いていた。だから、夏目漱石「こころ」の先生にも共感できずにいたが、このふうちゃんのお父さんの病の根源を探る過程で、その闇の深さを感じ、少し理解できた気がした。

(ネタバレになるが)

400ページ超、ストーリーにハマってしまえば、一気に読めてしまう。ふうちゃんのお父さんの自死で終わるが、ようやくお父さんが、その深い闇を伴う病から解放されるのであれば、安寧(社会が穏やかで平和なこと)な時が訪れるのであれば、悲しむばかりではないのだろうか。

Good Luck 沖縄!と言ってあげたい。

この機会に灰谷健次郎著書を… で「兎の眼」も読んでみたのだが、こちらはちと重くて?(クドくて)読了できなかった。

映画はこれ!

多分、これだと思う。

youtu.be

この1冊でした

太陽の子 (角川文庫)

 

太陽の子 (角川文庫)