トンカツ屋の入口で子豚が客寄せ
前を通るたび、呼び掛けられる気がしている(妄想)。
時を経て読み継がれている小説は読んでみたいと思う。
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「動物農場」
ジョージ・オーウェル/開高健(訳)
(ちくま文庫)
訳者が開高健というのも惹かれる。
読みやすく笑える内容
笑ってよいのだろうか?
教養狙いという打算や「1984年」も読んでみたいなどなど、少し身構えつつも読んでみた。オーウェル氏はアメリカ人かと思っていたら、イギリス人で少し驚いた。
Wikipediaで生い立ちを読んでみると、1903年イギリス植民地のインドで生まれ、第二次世界大戦をアジアやヨーロッパなど激動の中で過ごしたのだから、レポルタージュ作家として捉えるのであれば、感じることは色々あるかもと納得する。
そこをまた、平和な戦後日本を飛び出してベトナムへ行く開高健が訳して解説するのだから、妙な説得力まで感じた。
家畜が支配する人間を凌駕し、それでいて同志の家畜から豚が支配階級として変貌していく様を寓話小説として描かれていた。
やらなくてはならない仕事があるときには必ず猫の姿が見あたらない。
猫もどちらかと言えば、ブルジョワぽく描かれる。なお、支配階級を代表する豚の名前が、ナポレオン…
輝かしい業績と幸運なできごとは、すべてナポレオンのおかげとするのが、常のこととなった。
もうナポレオンが支配者となってからは、知識として知っているソ連を中心とする東欧諸国や北朝鮮の様相で、一般市民(一般動物か?)はもは情報操作されて搾取されるのみ。
最後のオチは
外にいる動物たちは、豚から人へ、人から豚へ、再び豚から人へと、視線を走らせた。しかし、もう、どっちがどっちか、まったく見分けがつかなくなっていた。
となる。中編なのでサクッと読めるのだが、擬人化された豚と言えば「三匹の子豚」しか知らないけれど、まるで絵本を眺めているような楽しさがあった。
しかし、これは毒味が強いから、お子様には無理です(多分、どこが笑えるか笑えない)。
開高健もいいが、吉田健一や山形浩生訳も気になる。
早く「1984年」も読みたい。