このレンズの写りがやっぱり好きで
「ガルシア=マルケス」という感じの写りではないのですが、何となく透明感があるように感じている。
いつも、何をこのレンズで写すのがいいかなと悩んでいる。
花が咲くサボテンを探しているのですが、これもなかなか良いのに巡り会えず。
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「エレンディラ」G.ガルシア=マルケス(ちくま文庫)
浮遊感にも似た不思議な感覚の文章
マルケスは雰囲気に引き寄せられて「百年の孤独」以外にも「予告された殺人の記録」とか読んでいて、サボテンの表紙のこちらにもついて手が伸びました。
ところが、パッと読んだ限りでは自分の中で引っかからずつい「解説」を頼ってしまった。
(解説より)
驚異的な出来事や桁外れの人間の行動や生き様を、彼一流の物語的な文体を通して巧みに語ることで、ラテンアメリカの現実と驚異をあざやかに描き出している。
文体に言及してしまうと、やはり翻訳は限界があるかなと。
幻想と現実を隔てている壁をいかに取り払うかということだった。
こちらの一文は意識した。
幼い頃にいろいろな話を聞かせてくれた祖母が、いつも驚くべき出来事をしごくありふれたことのように喋っていたのを思い出し
うちの母親も孫(弟の子供たち)に話をする時、よく盛っていた… 面白くしたつもりが、結果として現実を脚色しているのかなと。
そう思うと「大人のための残酷な童話」というまとめにも納得できる。
本のタイトルは本当は「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」であるが、長いので、固有名詞1語にまとめた模様。
具体的に「幻想と現実を隔てている壁」を取り払ったと自分が理解した文章は…
(作品より)
子供の時から心臓の動悸をかぞえ続けて、今では数のほうが不足しはじめた哀れな女。星の動く音が苦になって眠れないジャマイカの男。夜中になると起きだして、目覚めているあいだに作ったものを壊してしまう夢遊病者。彼らほど重くはないが、ほかにも大勢の病人が押しかけた。
という感じでしょうか。
短編集ですが、どれもオチや教訓もないです。浮遊感にも似た不思議な感覚の文章から、自分なりに納得できる現実を思い起こして読んでみました。
そろそろ、「百年の孤独」再読したいです。