少し否、かなり不思議な空気感のある小説だった
文庫概要
タイトル | 結婚式のメンバー |
著者 | カーソン・マッカラーズ |
訳者 | 村上春樹 |
出版社 | 新潮文庫 |
カバーイラスト 柳智之
カバー写真 ルース・オルキン
右からジェリー・ハリス、カーソン・マッカラーズ、エセル・ウォーターズ
とあり、本人が写っているようだ。
内容紹介
著者についての知識がなかったので、軽く文庫での紹介から引用する。アメリカ南部出身者の作品はいろいろ興味深いけど、そういう方々が出てくる土地柄なのだろうか?
(1917-1967)ジョージア州コロンブス生れ。アメリカの女性作家。南部の風土を舞台に社会に順応できない人々の孤独や少女の心理を精緻に描き、独自の小説世界をつくり出した。(以下略)
大きく三部構成で、PART ONEが起、PART TWOが承、PART THREEが転結という感じ。
- PART ONE
- PART TWO (1~3)
- PART THREE
PART ONE
p67より
「ドック・デイズ」と呼ばれる夏の真っ盛りに入った頃、フランキーの猫が姿を消した。ドック・デイズとはどのような日々なのか?
アメリカっぽいネタでいいな。暑さも盛りになると何かが起きる予感は万国共通か?
PART TWO
p117より
落ち着きのない春と、気の触れた夏、彼女は兵隊たちを悩ましい心で眺めていた。彼らはやってきて去って行く人たちであり、その一方で彼女は永遠にこの街に縛りつけられた人間だったからだ。
地方に住み続けるって、やはり閉塞感が拭えないものかと思う。
p160より
ホッピンジョンを最高の好物として選んだのはF・ジャスミンだが、他の二人だってその料理を好きなことに変わりはない。
これもアメリカっぽいネタで読んでいて楽しい。またもwikipedia の世話になるが
ホッピン・ジョン (英語: Hoppin’ John) は、カロライナ・ピー・アンド・ライス (英語: Carolina peas and rice) とも呼ばれ、アメリカ南部で食べられている豆と米の料理である。
画像を見ると、普通の豆サラダではないか?と思うものの、こういう郷土色(食?)のある記述は好きだ。
PART THREE
p289より
観客席にいた頭のおかしい女の子が急に舞台に飛び出してきて、台本にない役を自分で勝手にこしらえて演じたようなものだ。
正直我ながら小説のストーリーがわかるような紹介をしていないが、これはこの小説を一文で要約している!と痛感した。要するに、そういうストーリーなのであった。
「村上柴田翻訳堂」とは?
本書は、村上春樹・柴田元幸両氏が選んだ作品を新訳・復刊する新潮文庫≪村上柴田翻訳堂≫シリーズの一冊として新たに訳し下されたものである。
さすが新潮社、マーケティング上手かなと。欲しく(読みたく)なる、やっぱり…。
ちなみに、こちらはその第1作品目のようだ。表紙のモノクロ写真がまたいいよね(自分好み)と。なお2作目は「僕の名はアラム」(柴田元幸訳)、サローヤンは2作読んでいるけどこちらは未読。