大倉山ジャンプ台からは札幌の中心地が見える
札幌オリンピックの舞台にもなった(念願の)大倉山ジャンプ競技場に行ってみると、なんと札幌の街が見渡せたよ。
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「向う端にすわった男」東直己
ハヤカワ文庫
札幌が舞台のこの小説はとっても好きだから(少し)ウザく綴ってみる。
北海道ハードボイルドと大泉洋
探偵らしきことをする名もない主人公(映画では大泉洋)は、回りくどいながら結局良い人なのが特徴。ここを押さえて読み進めると、ストーリーにはまりやすい。
それに、たとえ自分のケツは自分で拭くにしても、拭く紙は、たぶん苫小牧かどこかの製紙工場の従業員が作ってくれた紙で、それをトラックの運転手が問屋に運んで、問屋から小売り店に運ばれて、それを買ってきた物であり、つまり、人間同士が複雑に錯綜して関わり合う現代社会に生きる人間は、完全に自分だけの力で自分のケツを拭くのは不可能なのだ。
そして、探偵らしく?ところどころにサラり触れる人間描写がいい。
冗談を、冗談として愉快に笑う、知的な笑い声だった。いい酒を呑む男なんだな、と俺は思った。
ただストーリーを追うのではなく、つい意識することが少ない特徴を具体的に記してくれると、とってもイメージが膨らんでくる。
別に<ケラー>は客を選ぶような店じゃない。(略)カラオケもないし、ガラガラ声のママもいないし、魚肉ソーセージのマヨネーズ和えもない。
これまで映画にもなった第2作、シリーズ第1作は長編で読み応えがあった。ちょと変化をつけようと短編集を読んでみたが、逆に短編集だったせいか、どれも事件としては小ぶりで小市民的なオチだった。
- 向こう端にすわった男
- 調子のいい奴
- 秋の終り
- 自慢の息子
- 消える男
それはそれで短編らしく楽しめたが、個人的にはこの作家には太いストーリーを期待していと思っている。
映画はこれ!
映画化1作目のタイトルは「探偵はBARにいる」だけど、内容は小説2作目「バーにかかってきた電話」だった。映画化2作目「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」は、小説5作目「探偵はひとりぼっち」(自分未読)らしい。
小説は1作、2作目が既読、映画も1作、2作と観ているくらい好きなシリーズだけど、やっぱり映画1作目の組み合わせ(ようするに「バーにかかってきた電話」)が好き。多分(自分的には)淡々と演じた小雪がよかったのかも。小雪の演技は、大げさでなく淡々としているが、役柄が淡々としたキャラクター(だいたい最後は悲劇)だとハマるのかも。
この小説家の結末は、主人公の性格のようにまわりくどいけど最後はどうにかほろ苦いながらきちんと解決するとこが、何となく安定できて落ち着く。
ちなみに、映画の脚本は古沢良太氏だったYO。面白くもなる。
この1冊でした
やっぱり、これはのせておきたい。