これまで、あまりSFというものを読んでこなかった。
今後、新しい作品を読む前に、古典とはまではいかないでも古い作品を知っている方が、より楽しめるかなと思い読み始めてみることに。それだけでなく、この本には読んでみたい!と常々思っていた作家の名前が並んでいる。
文庫概要
タイトル | 夢の中の女 |
著者 | 石川喬司・伊藤典夫編 |
出版社 | 旺文社文庫 |
旺文社文庫、橋本勝氏作品の表紙多し。
内容紹介
ラインナップは次のとおり。
敬称略で失礼するけど、筒井康隆、小松左京、星新一、半村良らは多作なだけに常々読んでみたいものが多く、鈴木いづみ、戸川昌子、藤本泉作品は、機会があれば読んでみたいと思っていた。
編者のお二人は、石川喬司(1930~)と伊藤典夫(1942~)は2021年現在もご健在のようで、この日本SFの分野では発展に尽力した方々、それだけに期待も膨らんだ。
- 亡母渇仰 筒井康隆
- 魔女見習い 鈴木いづみ
- 痩せがまんの系譜 小松左京
- 待っている女 山川方夫
- 卵 斎藤哲夫
- 見失った表情 星新一
- 聖女 戸川昌子
- 十億トンの恋 藤本泉
- おさせ伝説 半村良
- 悪夢のかたち 平井和正
読了後の感想としては、SFという横文字に惑わされるほど近未来な話っぽい雰囲気ではなかった。
それだけに、心理的には人情話に近い感覚で読めた。だけど、ふとしたタイミングで、そういう非現実的な現象が起こりそうなギリギリのところが、科学小説らしいのかも。
どれも「女の気持ち」を描いたものが… と思えば、タイトルが「夢の中の女」であった。以下、伊藤氏の解説から抜粋して少し紹介。
亡母渇仰 筒井康隆
しかし、それ以上に、いわゆる超能力ものがSFの中で隆盛を見たのは、それが既成の小説では考えられなかった形で、人間の心を映しだす有効な鏡になりうることが発見されたからだろう。
1971年の作品。
魔女見習い 鈴木いづみ
本篇は、鈴木いづみのSF作家としてのデビュー作。作者流にいうなら、「しれっ」とした結末になんともいえない味わいがある。
1975年の作品なのねと。
痩せがまんの系譜 小松左京
しかしそれ以上に、この時期つぎつぎと新境地を切りひらいていた作者が、はじめて強烈な存在感を持つ女性を描いた小説として、記憶に新しい。
1963年の作品。
タイトルが今ひとつ?だけど、ストーリーはとても人間味を感じさせるものだった。やはり、青春時代の苦労の反動だろうか?
見失った表情 星新一
星新一の小説には、結晶を思わせる透明な輝きがある。それは冷たい光ではない。作者の温かみをそのまま伝える光である。
意識して読む、初・星新一作品。
正直どれも粒ぞろいで、今後もつまみ食いのようにページを開く本だなと思った!
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もはや骨董書?の域でしょうか、こちらでご紹介できる1冊は存在せず。