みすゞ飴の四季のジャム
信州上田にある昭和レトロな「みすゞ飴本舗」
信州上田「みすゞ飴本舗」四季のジャム。信州は美味しい食べ物多いけど、ここはこの雰囲気もなんだか好きだったりする。
今回紹介の1冊は、みすゞ飴本舗からも遠くない上田城が徳川&北条に攻められた話。
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「真田太平記」第三巻・上田攻め
池波正太郎(新潮文庫)
余計なことも書かれているが、みすゞ飴本舗を軽く紹介。
大河小説の勢いに自分飲み込まれている
通勤地下鉄に座れて読んでても睡魔に打ち勝つほど、ストーリーの飲み込まれている。
大河小説における起承転結の起が終わり、だんだんと承へと移りつつある感じがある。
著者も綴っている。
以前のように、すべて率直に、兄へ語りかけることができなくなったからである。
仲違いしたのではないが、運命?によって兄弟は少しづつ違う道を歩き始める。ストーリーが展開(父・昌幸&弟・幸村 vs 兄・信幸)を迎えようとしている。
家康や忠勝に対し、この長男がにこやかに応対している姿を見ながら、
(源三郎め。父の、このわしには見せたこともない笑顔をつくりおるわい)
これもストーリー展開の一伏線で、池波氏の創作部分に違いないのだけど、父の息子に対する妙な嫉妬が変に可笑しい。
自分が何故、小太郎へ、このように関心を寄せるのか、それは信幸も意識してのことではないし、小太郎もまた、無意識のうちに信幸を慕っているのであった。
おもえば、
「因縁というよりほかに、いいようがない……」
のである。
小太郎は家臣の息子なのだが、幼少期は白兎に例えるほど可愛い。いるよね、そういう男の子。
池波氏により、ときに「今後のストーリーでこの登場人物が重要だから、よく記憶に残しておくように!」という書き振りがある。上記もその一例で、読者(自分)はそうか、そうかと再登場を楽しみに読み続ける。
もう二度と、抱くこともあるまいとおもっていた妻の躰であったが、昌幸は、おもいもかけぬ妻の仕草にそそられて、
「なんと申しても、御方がおらぬ城では、おさまりがつかぬわ」
などと、こころにもないことをいったりした。
そもそも、信幸&幸村兄弟の父・昌幸のキャラクターがそうなのか、池波氏の思いがそういうキャラクターを作っているのか不明だが、この父の言動がいちいち微笑ましい。
で、その一方、真田家以外の話題として豊臣秀吉の動向が描かれる。
弟の大納言・秀長と千利休と……秀吉にとっては、腹心の二人に死なれて、精神の拠りどころを失ったようなところもある。
自分のことで恐縮だが、この期に及び今回の読書で秀吉の背景がわかった。これまで教科書に書かれている?事実は知っていたけど、秀吉と家康の駆け引きや、その駆け引きから見えてくる秀吉の思想(やり方?)みたいなのは意識したことがなかった。
秀吉が血を流さずに諸大名を自分の配下に納めたいという考えの持ち主だった反面、その成り上がり?のいきつく先が朝鮮出兵につながる独占欲など、人物像がシンプルにそれでいて重層的に描かれているから、うっかりストーリーに引き込まれる。
まだまだ楽しみは続く。
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