文庫概要
タイトル | 白痴 |
著者 | 坂口安吾 |
出版社 | 新潮文庫 |
文庫本とは言え、平野甲賀氏のオリジナリティ満開の素敵な表紙だなと。
内容紹介
目次は次の通り。
- いずこへ
- 白痴
- 母の上京
- 外套と青空
- 私は海をだきしめていたい
- 戦争と一人の女
- 青鬼の褌を洗う女
白痴
冒頭だけど、最後の一文にインパクトと灰汁の強さを感じる。
その家には人間と豚と鶏と家鴨が住んでいたが、まったく、住む建物も各々の食物も殆ど変わっていやしない。物置のようなひん曲がった建物があって、階下には主人夫婦、天井裏には母と娘が間借りしていて、この娘は相手の分らぬ子供を孕んでいる。
1999年の映画「白痴」の原作として長らく気に入っていたのだが、う~んん、かなりイメージが異なった。
多分(というか)安吾作品は今後も自分はパラパラと何度も繰り返すと思う。「桜の森の満開の下」も何度読んでも腹落ちしないけど、毎回「そっか!」という発見もある。
正直、どの作品も少々(なんて言うのでしょうか)灰汁が強くて、読むのがうっとおしい(失礼!)と感じることもあるのに、読んでしまう。そういう意味では、もう「堕落論」は読まないと思う。
青鬼の褌を洗う女
実はもう一作品気に入っていたものを読む機会を得た。冒頭は次の感じで始まり、安吾作品のうちではかなり読めるかな?と期待したものの… まあいつもの灰汁強い方へと変貌してゆく。
匂いって何だろう?
(略)
私は近頃死んだ母が生き返ってきたので恐縮している。私がだんだん母に似てきたのだ。あ、また――私は母を発見するたびに、すくんでしまう。
なお、この方の作品はこの方の女性遍歴(矢田津世子女史、坂口三千代女史)と併せて読むと、ちょとまた乙かもしれないかなと。
この1冊でした(Amazon)
ついつい好きなブックデザイナーのコレクションに走ってしまう。