「赤いフランス瓦がかわいらしい洋館」
すっかりこちらのお家がモデル?と思いきや… モデルになり得る要件を備えているだけのよう。
国登録有形文化財で、杉並区では「赤いフランス瓦がかわいらしい洋館」と言われている。
また病床にあった息子の療養のための部屋と、看護にあたった女中の部屋を南向きで陽あたりの一番良い部屋に配置するなど、女性が働きやすいように配慮された画期的な設計
1931(昭和6)年竣工
小説世界のポイントは押さえている。
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「小さいおうち」
中島京子(文春文庫)
初めて読んだ中島京子女史の小説
直木賞受賞作品だったのですな。ご自身は、どういう世界観の物語が得意なのだろう。
次の章から構成され、すんなり読めた。
- 第一章 赤い三角屋根の洋館
- 第二章 東京モダン
- 第三章 ブリキの玩具
- 第四章 祝典序曲
- 第五章 開戦
- 第六章 秘策もなく
- 第七章 故郷の日々
- 最終章 小さいおうち
- 対談 中島京子×船曳由美
自分、少し誤解していた。
モデルになったお家が、うちの近所にあると思っていたが、それはうちの近所ではなかった。対談でも、モデルとなった家を推察しているけど、それほど重要なことかな?とか思ったりする。
できる女の女中さんが狂言回しでストーリーを語るのだけど…
旦那様からは、男の人の匂いがしなかった。ああ、そういうことだったのだと、わたしはあのときに初めて気づいた。
奥様が再婚してから赤ちゃんに恵まれなかったのには、理由があったのだと。
旦那様はわたしを、一度も変な目でごらんになったことがない。おそらく、ほかの女のことも、そんなふうにごらんになるようなことがないのだ。
優しい旦那も悪くはないのだろうけど… 大人の女?にはやや不満なタイプということで。そして、大人の奥様が外出先から戻ると、明らかに帯を締め直した形跡が!!
情事の香りをさせておいて… 否、この小説はどこまでも品が良いです。
いまでも、はっきり、覚えている。
後姿の、帯の模様がいつもと逆になっていた。
(略)
そんなことはないと、人は言うだろうか。いつも着慣れている帯を結ぶのに、左右や天地が逆になるようなことはないと、思うだろうか。
そして最終章、絵本の話が始まる。おお、それこそうちの近所にお住まいだった(小説と全く関係なし)石井女史のお名前がある。
バージニア・リー・バートンが、絵本『The Little House』を出版したのは、一九四二年のことで、ちょうど太平洋戦争の始まった翌年にあたる。
日本で、石井桃子訳の『ちいさいおうち』の初版が出たのは、それから十二年も経った、一九五四年のことだ。
ネタばれ無しの程度にこの小説のあらすじを一言で申せば、奥様と女中と、この家を訪れる旦那の会社のお兄さんの人間模様なのだけど、事実はいかに?
中島 ありがとうございます。私が考えている理由はあるんですけれども、読んでくださったかたが自由に想像してくださったらうれしいですね。
読者に委ねられる。ちなみに自分は、美人な奥様もできる女中も自分に自惚れる!という意地悪な結論にしてみた。
映画はこれ!
こちらの予告の方が、予告らしい
youtu.be
こちらは、この小説の核心に!
youtu.be
映画も悪くない。