「スローターハウス5」K・ヴォネガット・Jr

東側諸国の面影残るベルリン2002年

アメリカ人によるドイツでの体験

長らく読みたいと思っていた作家、ようやく巡り会えた。

本のタイトルスローターハウス5
著者名カート・ヴォネガット・ジュニア
訳者名伊藤典夫
出版社ハヤカワ文庫
この写真にちなんで、こちらの文庫を紹介したい。

小説の舞台はドレスデンだけど、自分行ったことないので2002年冬に訪れたベルリンの画像で。当時はまだ、東側諸国の面影残っていたなと。

「スローターハウス5」タイトルもSF風

種を明かしてしまうと、アメリカ兵として敵国ドイツで捕虜になり、収容されていたのがドレスデンの「屠殺場5号」とのこと。ここで、3月10日の東京大空襲のドイツ版ではないが、ドレスデン無差別爆撃に遭遇しながら生き延びるという実話が元になっているらしい。

住所というのが、ドイツ語でシュラハトホーフ=フュンフ。フュンフは英語でファイブ、ドイツ語のシュラハトホーフが英語のスローターハウス、タイトルも意味深長だと思った。

響きだけ読むと、とてもSFチックだ。

ちなみに、どこがSFかと言えば、この実話な戦争体験と恵まれた現在やこれから起こる未来と時間軸を行ったり来たりしてストーリーが進むのである。

ドイツ系アメリカ人四世であり
いまケープ・コッドにおいて
(タバコの吸いすぎを気にしつつも)
安逸な生活をいとなむこの者
遠いむかし
武装を解かれたアメリカ軍歩兵隊斥候
すなわち捕虜として
ドイツ国はドレスデン市
「エルベ河畔のフローレンス」の
焼夷弾爆撃を体験し
生きながらえて、この物語をかたる。
これは
空飛ぶ円盤の故郷
トラルファマドール星に伝わる
電報文的分裂症的
物語形式を模して綴られた
小説である。
ピース。

上記は、本を開くとすぐ、ストーリーが始まる前に提示されている。妙な話、この九死に一生の体験が実話なだけに、頭で創造した情景ではないせいか、読んでいて細部にすごいリアリティが感じられる。フム。

また再読したい。原文で読むのもいいかも、違う訳者でも読んでみたいかも。

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