金子光晴の作品は初めてではなくて
ずいぶん前だけど「どくろ杯」「マレー蘭印紀行」「ねむれ巴里」を読んでいるので、いつかは詩にも触れていみたいなと。
言うに及ばず、自分は詩を評価できるほどの何かはない。けど、偏見なしに「いいな」と思える何かに会えればラッキー!という気持ちで読んでみた。中学高校の授業で触れたもので、記憶から消えないものがいくつかあるので、詩を「いいな」と思う気持ちはある。
本のタイトル | 金子光晴詩集 |
編集 | 村野四郎 |
出版社 | 旺文社文庫 |
表紙は、深尾庄介(1923-2001)という東京藝大出身の作品らしい。詩と一緒に視覚的な作品を味わうのも乙だなと憧れる。
同じく詩人であった村野四郎の編集
金子光晴の美味しい部分?がわかるように選び解説してくれていた。
次は選んだ詩集のタイトルで、各から2〜3つの詩を選んでいた。
- こがね虫
- 水の流浪
- 鱶(ふか)沈む
- 鮫
- 女たちへのエレジー
- 落下傘
- 鬼の児の唄
- 蛾
- 人間の悲劇
- 非情
- 水勢
- 愛情69
- 風流尸解記
- 花とあきビン
- 拾遺篇
先に、村野氏の解説による金子光晴の特徴を拾ってしまうと
詩人の生涯として重要なのは、その時期に蓄積した象徴的手法であって、単なる官能的な頽唐ないし、陶酔などではなかったはずである。
ようするに、金子光晴が詩人としてモンスターな存在だったのは、若い時の熱い?心と文学的行動力みたいなものを、老いても失わなかった点らしい。ということで、そのあたりを意識して読んでみた。フムフムと興味深く読めたが、自分の記憶に染みるものには出会えなかった。
女たちへのエレジー
自分とは性別も生きた時代も異なるので、どうしても生きてゆく状況が異なれば共感を受けるのは難しいなと。それでも「女たちへのエレジー」という、女性への詩はこの1冊のうちでは最も興味深く読むことができたかな。
「女への弁」のおしまい
いつ、いかなる場合にも寛容なれ。
こころゆたかなれ。女こそ花の花。
だが、愛のすべしらぬ偽りの女、
その女だけは蔑め。それは女であつて女でないものだ。
かなりエロティック調や、反戦のものも多かったが、人として男性が思う女性へのエレジー(哀歌)がいいかなと。
「ーーある老嬢に」
女は裸になつた。だが、
愛撫を待つためではない。
うつろふ明暗で
ほのかににほふ肌。
みだらさをしらない女の
うすい葩(はな)の
こまかい皺。
うたれたあざのやうに
水いろのしみにんつ
からだぢゆうにのこるそれは
ふれてすぎた人たちの指のあと。
くだものやの店さきの
うれなかつたくだもののやうに。
女は裸になつた。夏衣を
秋の衣にかへるそのたまゆら。
果物屋の売れ残った果物がいい。つい、自分をなぞらえて、買い物で売れ残って割引になった商品があると救済(購入)してしまう。
この1冊でした(Amazon)
読んだのは村田四郎編集だけど、Amazonからのおすすめは清岡卓行編集で。後者は好きな詩人(だけど読んだのは長編小説)だから、機会があれば比較してみたいかも