「夢十夜」夏目漱石


長野県善光寺の仁王門にある金剛力士の足

これ彫ったの?

ペディキュアを気持ちよく塗れそう… という形の良い爪も気になったが、もはや木像というより肉体を感じる。小指に力が入って踏ん張っている感じもいい。

接木なのか、経年変化で割れが生じているのか、詳しいことは不明だけど、木の質感が乏しいかと。

本のタイトル文鳥・夢十夜
著者名夏目漱石
出版社新潮文庫
この写真にちなんで、こちらの文庫を紹介したい。

運慶は仁王像を彫るのではなく掘る

夏目漱石と言えば「坊ちゃん」「吾輩は猫である」や中学で習った「こころ」が記憶に残っているが、ふんわり不思議な雰囲気な作品もある。長編ばかり読んでいたけど、たまに気ままに短編集を繰って拾い読みもいい。

新潮文庫で収録されているの作品は次のとおり。

  • 文鳥
  • 夢十夜
  • 永日小品
  • 思い出す事など
  • ケーベル先生
  • 変な音
  • 手紙

例えば、この「夢十夜」も「こんな夢をみた」で始まる、一夜完結の夢を語っている。第六夜で、運慶が仁王を彫っている話がこちらであるが、運慶はもはや彫るのではなく掘るらしい。

「なに、あれは眉(まみえ)や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出す様なものだから決して間違う筈(はず)はない」

素人は「いくら掘ってみたところで掘り出せない」というのがオチのようになっているけど、妙に説得力あるこの話は漱石がオリジナルだったのでしょうか。天才は大げさだけど、才能とはこういう感じかと思う。

夏目漱石の作品は全部、できれば発表時系列できちんと読みたい(多分読む、いや絶対読む)。

この1冊でした