フランス切手は素敵だよ
サン=テグジュペリの切手を持っていたな…と、マクロレンズで撮影を試みた。
ヨーロッパ、アメリカ、日本と1960年〜1980年くらいの切手は、どれも美しい。大好きである。
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「夜間飛行」サン=テグジュペリ(新潮文庫)
画像は2000年発行だけど、最近の切手はどこの国も何だか底が浅くて?あまり好きになれない。
マクロレンズは面白そうだから、色々使ってみたいけど、正直なところ悲しいかな勘所全くわかっていない。
純粋にも厳しい世界が描かれていた
「星の王子さま」は未読なものの、サン=テグジュペリの著書は読んでみたかった。
少し甘い気持ちを期待して読み始めた「夜間飛行」、主人公(リヴィエール)が求める任務(郵便飛行)への完璧さは冷徹なまでの姿勢で、かなり(大きな意外性で)期待を裏切られた。
しかも、著書自身の経験を生かし実際のモデルも存在するというから驚いた。リヴィエール以外にも、仕事、仕事、仕事が全ての人々ばかりが登場する。
ルルー、彼もまた、四十年来働き続けてきた。労働に彼はあらゆる力を捧げてきた。毎晩、十時十二時になって、彼はうちへ帰るのだが、そこに彼を待っているのは、次元の新しい世界でも、また彼の気持を変えてくれる脱出の世界でもなかった。
そう思うと、自分のサラリーマン生活も詰めると似たような側面があるなと。
リヴィエールはある種のファンがきらいだ。彼には、この種の人間には、冒険の神聖な意義がわからず、彼らが発する賞讃の叫びは、かえってその意義を汚し、冒険を成し遂げた人間の価値を減少するとしか考えられなかった。
完璧な任務に寄せられる賞讃には目もくれない。
「あいつは何にも考えない人間だが、それだけにかえってまちがった考えを持つ心配のない男だ」と、リヴィエールが言ったことがあった。
指示命令に逆らわない部下を、卑下するのではなく逆に認める。それが命の危険が伴うものであっても、指示命令を一旦覆すという前例を作ると、組織が乱れると認めない。
サン=テグジュペリ自身も、任務遂行中に行方不明となる。
「南方郵便機」という処女作も含まれていたが、こちらはラブ・ロマンスの色もあり、枯れつつある自分には少しくどい感じがあった。業務遂行の重要さと対比させ際立たせるため、ロマンスを盛り込むのは悪くないと思うけど、ここまで描く必要あるかな?
まあ、あってもよいかな。やっぱり。
これまで読んだことのない、不思議な感覚の小説だった。1956年の訳だったから、新訳で読んでみたい。「仕事が全て」という人生の実感、自分はまだ持てない。